企業が事業活動を行う上で、「資金繰りが問題なく行えている」ことはとても重要です。
資金繰りに問題があると倒産してしまうリスクも高くなるからです。
資金繰りが大丈夫かどうか?をチェックするためには下記の4つの指標を見ることをおススメします。
- 運転資金
- 売上債権回転期間
- 棚卸資産回転期間
- 仕入債務回転期間
今日はこの4つの指標の中から、運転資金について解説していきます。
運転資金の意味と、計算式を教えて!
運転資金はどれくらいあれば大丈夫なの?
質問ありがとう!
一緒に勉強していこう!
【わかりやすく解説】運転資金の意味、計算式、目安
運転資金とは、仕入れた商品の支払期限と、仕入れた商品を売って売上が計上されるまでのタイムラグを埋めるために必要な資金のことを言います。
通常企業は、商品を仕入れて、仕入れた商品は消費者に販売します。
しかしながら、販売した商品の売上が計上されるまでには時間がかかる事が多いです(商品の代金を現金で回収できるケースは稀で、ほとんどが掛け払いだからです)。
商品の売上が立つ前に、仕入れた商品の代金を仕入先に支払うことが多いので、企業はお金を余分に準備しておかなければいけません。
この余裕資金のことを運転資金といいます。
この運転資金を見れば、資金繰りは大丈夫なのか?事業継続は危なくないか?を見抜くことができるのです。

運転資金の計算式は下記の通り求めることが出来ます。
運転資金=売上債権+棚卸資産-仕入債務
繰り返しますが、運転資金を求めることで、商品の売上が立つ前に仕入れた商品の代金を支払うための必要資金が分かります。
その必要資金(運転資金)がどれくらいの範疇であれば企業として資金繰りが大丈夫かどうかは、貸借対照表の「現金及び預金」で賄えるかどうかで決まります。
つまり、運転資金<現金及び預金であれば大丈夫と言えます。
売上債権
売上債権とは、将来受け取る予定のあるお金のこと(販売先に対してツケ払いを待ってあげているお金のこと)です。
下記2点が売上債権に該当します。
- 売掛金
- 受取手形
棚卸資産
棚卸資産(在庫商品)とは、まだ現金化されていない在庫のことです。
下記6点が棚卸資産に該当します。
- 商品
- 製品
- 半製品
- 仕掛品
- 原材料
- 貯蔵品
仕入債務
仕入債務とは、将来支払う必要のあるお金のこと(取引先に対してのツケ払いのこと)です。
下記2点が仕入債務に該当します。
- 買掛金
- 支払手形
【実践】運転資金を自分で計算してみよう!
では実際に運転資金を自分の手で計算してみて、運転資金の金額を現金及び預金で賄えているかを見てみましょう。
私の好きな企業の1つであるブリッジインターナショナル(7039)の有価証券報告書を参考に見てみましょう。
- 売上債権:売掛金の773,448(千円)
- 棚卸資産:仕掛品の298(千円)+貯蔵品の3,862(千円)=4,160(千円)
- 仕入債務:買掛金の53,042(千円)
- 現金及び預金:1,108,432(千円)
運転資金=売上債権(773,448)+棚卸資産(4,160)-仕入債務(53,042)=724,566(千円)
現金及び預金が1,108,432(千円)ですので、運転資金は十分に賄うことが出来ます。

簡単に計算出来るでしょ?
ブリッジインターナショナルの場合は現金及び預金をしっかり確保できているから、運転資金はちゃんと賄えるね!
【補足】”売上債権回転期間”でも企業の資金繰りが分かる
運転資金の計算式に出てくる”売上債権”だけでも、企業の資金繰りの健全性を調べることは可能です。
それは売上債権回転期間を見れば分かります。
売上債権回転期間とは、売上債権(売掛金、受取手形)がどれくらいの期間で回収出来ているかを測る指標のことで、まだ売上が計上されていない販売した商品やサービスが現金化されるまでの期間のことです。
計算式は下記の通り求めることが出来ます。
売上債権回転期間(ヶ月)=売上債権÷月商(年間売上÷12)
売上債権回転期間が1~2カ月(長くても3か月)以内だと、効率よく販売先から売上金を回収出来ていると判断することが出来ます。
売上債権回転期間については過去記事でまとめていますので、興味のある方は見てみてください。

【補足】”棚卸資産回転期間”でも企業の資金繰りが分かる
運転資金の計算式に出てくる”棚卸資産”だけでも、企業の資金繰りの健全性を調べることは可能です。
それは棚卸資産回転期間を見れば分かります。
棚卸資産回転期間とは、棚卸し資産を効率よく販売できているかを測る指標のことで、在庫商品が滞留することなく売れているか?が分かります。
計算式は下記の通り求めることが出来ます。
棚卸資産回転期間(ヶ月)=棚卸資産÷月商(年間売上÷12)
棚卸資産回転期間は短ければ短いほど良いです。
一般的な業界平均だと1ヶ月前後の棚卸資産回転期間が理想です。
棚卸資産回転期間については過去記事でまとめていますので、興味のある方は見てみてください。

【補足】”仕入債務回転期間”でも企業の資金繰りが分かる
運転資金の計算式に出てくる”仕入債務”だけでも、企業の資金繰りの健全性を調べることは可能です。
それは仕入債務回転期間を見れば分かります。
仕入債務回転期間とは、仕入債務を効率よく支払えているかを測る指標のことで、仕入れ先に対してツケ払いをどれくらい待ってもらえているのか?が分かります。
計算式は下記の通り求めることが出来ます。
仕入債務回転期間(ヶ月)=仕入債務÷月売上原価(年間売上原価÷12)
理想としては、仕入債務回転期間>売上債権回転期間です。
出来る限りツケ払いが後にズレる方が企業としては楽ですよね。
仕入債務回転期間については過去記事でまとめていますので、興味のある方は見てみてください。

まとめ
運転資金について解説してきました。
運転資金を見ることで企業の資金繰りの健全性を知ることができます。
また、運転資金同様に企業の資金繰りを知る指標として売上債権回転期間、棚卸資産回転期間、仕入債務回転期間の3つの指標も併せて解説しました。
損益計算書であったり、貸借対照表の内容は最悪ごまかそうと思えばごまかせたりしますが、現金の流れについてはなかなかごまかすことが出来ません。
よって、現金の流れが分かると怪しい会社を早期に見抜くことも可能だったりします。
ぜひお気に入り銘柄の現金の流れをチェック頂ければと思います。