投資家として見れるようになりたい「損益計算書」には5つの利益が登場します。
売上総利益の次に登場する利益である、営業利益について分かりやすく解説します。

・営業利益って重要なイメージがあるけど、詳しく知りたい!
・販管費と売上原価って何が違うの?
・営業利益を見る上でポイントや注意点を教えて
カブ太郎くん、いつも質問ありがとう!
営業利益を見るとその企業が本業で稼ぐ力が分かるよ!
小型株の場合、利益を出せるけど敢えて出していない企業もあるから、
そういった掘り出し企業を見つけるのにも役立つよ!
【初心者向け】営業利益とは?分かりやすく解説します
営業利益とは、売上総利益から販管費(販売費及び一般管理費)を差し引いたもので、その企業が本業で稼ぐことができた利益のことを言います。
営業利益を売上高で割った、営業利益率が同業他社と比べて高いということは、同業他社よりも本業で稼ぐ力が高いとも言えます。
営業利益を求める計算式はこんな感じです。
営業利益=売上総利益-販管費(販売費及び一般管理費)
では、「売上総利益」と「販管費(販売費及び一般管理費)」について少し細かく見ていこうと思います。
売上総利益
売上高から売上原価を差し引いたもので、企業の商品力やサービス力で稼ぐことができた利益のことを言います。
売上総利益を計算式で表すと、売上高-売上原価となります。

販管費(販売費及び一般管理費)
商品やサービスを販売する時にかかった費用のことで、間接経費とも言われます。
売上原価も同じ経費ですが、売上原価は商品やサービスを生産する時にかかった費用になります。
販管費とは販売費及び一般管理費と言いますので、販売費と一般管理費で費用の内訳が変わってきます。
販売費
販売費とは、商品やサービスを販売する時に、企業の営業部門/販売部門が支出した費用のことです。
主な販売費の項目としては次のようなものがあります。
- 広告宣伝費
- 接待交際費
- 販売手数料
- 通信費(営業担当者用)
- 荷造運賃
- 人件費(営業部門、販売部門) など
一般管理費
一般管理費とは、商品やサービスを販売する時に、会社の事務部門(総務・経理・人事)など営業や販売に関わらない部門が支出した費用のことです。
主な一般管理費の項目としては次のようなものがあります。
- 水道光熱費
- 消耗品
- 人件費(事務部門)
- オフィスの賃料
- 事務用品のリース料 など
ただ、販売費と一般管理費を明確に分けることは難しい場合がありますので、まとめて販管費としているのです。
営業利益率を求めてみよう!(計算問題あり)
営業利益率を求めることで、自分が気になっている企業が同業他社と比べて本業で稼ぐ力があるかどうかを調べることが出来ます。
では実際に、トヨタと日産を比較して営業利益率を求めてみたいと思います。


それぞれ当事業年度で比べてみましょう。
トヨタ
- 売上高:11,761,405百万円
- 売上総利益:1,821,447百万円
- 販管費(販売費と一般管理費):1,122,074百万円
- 営業利益:699,373百万円
日産
- 売上高:7,862,572百万円
- 売上総利益:1,050,825百万円
- 販管費(販売費と一般管理費):1,201,476百万円
- 営業利益:△150,651百万円(日産の場合は営業利益がマイナスなので「営業損失」と表現されています)
営業利益率
トヨタ:699,373百万円÷11,761,405百万円×100=5.95%
日産:△150,651百万円÷7,862,572百万円×100=営業利益がマイナスのため算出不可
販管費率
トヨタ: 1,122,074百万円÷11,761,405百万円×100=9.54%
日産: 1,201,476百万円÷7,862,572百万円×100=15.28%
以上から分かることは、トヨタの方が日産よりも本業で稼ぐ力が高いということです。
ただ販管費率がトヨタと日産で大きく違いがありますので、なぜ大きく違うのか理由は調べたいところですね。
今回は分かりやすく当事業年度だけで見ているけど、理想は複数年(最低でも3年)で見ることをおススメするよ!
営業利益を見るときの注意点とポイント
営業利益を見るときには以下の点を押さえてください。
- 単年ではなく複数年(最低でも3年)で見る
- 販管費の内訳をよく見る
- 販管費が大きく変わっている時はその理由を調べる
特に販管費には企業の成長意欲が垣間見えるので要チェックです。
宣伝広告費を前年よりもかけているようであれば、商品やサービスが拡大する可能性があります。
また、人件費を前年よりもかけているようであれば、事業拡大を狙っている可能性があります。
成長期待のある小型株投資をする時には販管費のチェックが重要だね!
ただ、上場間もない企業の場合は営業利益がマイナスということが多々あります。
それは上場間もない企業は、利益を拡大していくよりもシェアを拡大して行くことを最優先に考えているので、売上で得られた利益以上に「宣伝広告費」や、「人件費」をかけたりしているからです。
上場間もない企業の場合は、営業利益が参考にならないケースが良くあるよ!
特に僕が投資対象としている小型株はまさにそうで、利益獲得フェーズではなく、売上拡大フェーズの企業が多いんだ。
だから、成長期待のある小型株投資をする場合は売上>営業利益でチェックするのをおススメします!
ちなみに企業が営業利益を上げようと思ったらどうすれば良いと思いますか?
それは2つの方法しかありません。
- 売上高を増やす
- コスト(売上原価/販管費)を減らす
「売上高を増やす」ためには商品/サービスの単価を上げるか、数をたくさん売るかの2択になります。
「コスト(売上原価/販管費)を減らす」はある程度の成熟企業でやっていく策ですので、成長期待のある小型株の場合はあまり期待できません。
まとめ
営業利益について解説してきました。
営業利益率が同業他社と比べて高い企業は、本業で稼ぐ力も同業他社と比べて高いということになります。
しかし、成長期待のある小型株の場合は、敢えて営業利益を出しに行っていない企業もありますので、販管費の内訳であったり、社長のコメントなどをチェックしましょう。
決算説明会資料などを見ると、社長が「いまは利益獲得フェーズではなく、売上拡大フェーズである」とコメントしたりしています。
通常の投資であれば重要な項目である営業利益ですが、成長期待のある小型株投資の場合は少し意味合いが違ってきますね(^^)