投資家として見れるようになりたい「損益計算書」には5つの利益が登場します。
当期純利益とは最終的な会社の利益のことで、当期純利益が予想以上に伸びると株価の上昇に寄与しますので、投資家がもっとも気にしている利益の1つになります。

・当期純利益ってどれを見れば良いの?税引き前?税引き後?
・当期純利益の求め方を教えて!
・特別損益って何のこと!?営業外損益と違うの?の?
カブ太郎くん、質問ありがとう!
当期純利益について分かりやすく解説していくね!
【初心者向け】当期純利益とは?分かりやすく解説します
当期純利益は2種類あります。
税引き前当期純利益と、税引き後当期純利益(図解では「当期純利益」と記載)です。
税引き前当期純利益を先に計算して、その後に税引き後当期純利益を求めます。
最終的な利益として税引き後当期純利益は当期純利益と言ったりします。
- 税引き前当期純利益=経常利益±特別損益
- 税引き後当期純利益=税引き前当期純利益±税金
最終的に会社の利益となるのは税引き後当期純利益ですので、税引き後当期純利益が最も重要な利益になります。
ただ、税引き前当期純利益を求める際に計算される特別損益の項目は要チェックですので、どのような項目が存在するかは知っておきましょう。
【解説】税引き前当期純利益
税引き前当期純利益とは、経常利益から偶発的に生じた利益や損失をプラスマイナスした利益のことです。
この特別損益の金額次第では株価が大きく動くことがあります。
税引き前当期純利益を求める計算式はこんな感じです。
税引き前当期純利益=経常利益±特別損益
では「経常利益」と「特別損益」について細かく見ていこうと思います。
経常利益
営業利益から営業外損益を足し引きした利益のことです。
経常利益を計算式で表すと、営業利益±営業外損益となります。

特別損益
偶発的に発生した利益や、損失のことです。
ちなみに営業外損益との違いは、「毎年発生するか」「偶発的に発生するか」の違いで覚えておけば大丈夫です。
- 営業外損益:毎年発生する
- 特別損益:偶発的に発生する
特別利益
偶発的に発生した利益のことです。
- 固定資産(不動産、工場など)の売却益
- 長期間保有する有価証券の売却益
- 子会社株式売却益
- 前期損益修正益
- 債務免除益 など
特別損失
偶発的に発生した損失のことです。
- 固定資産(不動産、工場など)の売却損
- 長期保有する有価証券の売却損
- 前期損益修正損
- リストラ費用
- 災害 など
最近であればコロナ感染症による特別損失は色々な企業で計上されています。
【解説】当期純利益(税引き後当期純利益)
当期純利益(税引き後当期純利益)とは、税引き前当期純利益から法人税などの税金をプラスマイナスした利益のことです。
当期純利益とは、一言でいうと最終的に会社に残った最終利益のことです。
当期純利益(税引き後当期純利益)を求める計算式はこんな感じです。
当期純利益(税引き後当期純利益)=税引き前当期純利益±税金
税金は何がかかっているかというと、法人税、法人住民税、事業税などです。
税金の内容についてもしっかり勉強するに越したことはないですが、ザックリ30%くらい税金で取られるんだなーと覚えておくくらいで大丈夫です。
ちなみにこの当期純利益が予想以上に増えたりすると株価は急上昇します。
逆もしかりで、当期純利益が予想以上に減ったりすると株価は急降下します。
当期純利益率を求めてみよう!(計算問題あり)
当期純利益率を求めることで、自分が気に入っている企業が同業他社と比べてどれくらいの最終利益を上げているのかを調べることが出来ます。


それぞれ当事業年度で比べてみましょう。
トヨタ
- 売上高:11,761,405百万円
- 経常利益:1,886,691百万円
- 税引き前当期純利益:1,886,691百万円
- 法人税等合計:248,634百万円
- 当期純利益:1,638,057百万円
日産
- 売上高:7,862,572百万円
- 経常利益:△221,230百万円
- 特別利益:25,936百万円
- 特別損失:145,040百万円
- 法人税等合計:92,595百万円
- 当期純利益:△431,929百万円(当期純利益がマイナスのため、当期純損失と記載)
当期純利益率
トヨタ:1,638,057百万円÷11,761,405百万円×100=13.93%
日産:△431,929百万円÷7,862,572百万円×100=経常利益がマイナスのため算出不可
トヨタの方が日産に比べしっかり最終利益を確保できているのが一目瞭然だと思います。
日産は色々な要因が重なり大変な状況ですね…
損益計算書だけを見ると、日産の方が情報が細かく記載されていた分かりやすいですね。
今回は分かりやすく当事業年度だけで見ているけど、理想は複数年(最低でも3年)で見ることをおススメするよ!
当期純利益を見るときの注意点とポイント
当期純利益を見るときには以下の点を押さえてください。
- 単年ではなく複数年(最低でも3年)で見る
- 特別損益の内訳について理解する
特別損益には、どのような利益と損失の項目があるかについては途中で説明しました。
項目1つ1つを覚えるというよりも、昨年と比べて大きく計上されている特別損失について注目しましょう。
たまに長期間保有している有価証券売却益によって、株価が跳ねあがるケースもありますので、特別損益というのは株価上昇の隠し玉になったりします。
逆もしかりで、当期純利益が予想よりも大きく下方修正されると株価が大きく下落します。
当期純利益で株価が決まる
株価に最も大きな影響を与えるのが当期純利益です。
なぜならば株価の計算式を思い出していただければ理解できます。
株価=EPS(1株あたりの当期純利益)×PER
つまり、当期純利益が膨らめば、株価も上昇します。
たまに長期間保有している有価証券を売却することで大きな特別利益が計上され、当期純利益の額が上方修正されるケースもあります。
そうすると株価は急上昇しますので投資家としては嬉しい限りですね。
ただ注意として、特別利益で得られた株価上昇は本業で稼いで得られたものではないので、中長期的に見た場合は株価の伸びは期待できません。
まとめ
当期純利益について解説してきました。
当期純利益を見れば、会社に最終的に残った利益が分かります。
本業でしっかり稼いでいて、当期純利益が着実に伸びている会社へ投資したいですね。