貸借対照表の「純資産の部」を徹底解説していきます。

貸借対照表の「純資産の部」って何なのさ?
色々なことが書かれ過ぎてて、見る気がしない…
でも株式投資をするなら読めた方が良いんだよね?
カブ太郎くん、気構える必要なんてないよ!
全然難しくないから一緒に勉強しよう。
かみ砕いて説明するから安心して!
貸借対照表の純資産の部とは?分かりやすく解説します
貸借対照表の純資産の部は、株主から集めたお金と、企業が稼いだお金によって構成されており、返済義務のない資産のことです。
純資産(返済義務なし)=株主から集めたお金+企業が稼いだお金
負債よりも純資産の割合が多い会社は、財務の安全性が高いということも言えます。
純資産も色々と項目があり、内訳はこのようになっています。
- 株主資本(資本金、利益剰余金、自己株式)
- 評価・換算差額等
- 新株予約権
- 非支配株主持分


分けわからないよ!
こんなに良く分からない言葉が並ぶから嫌いなんだ!
あれ?服変えた?
大丈夫だってカブ太郎くん。
本当に大したことないから、取り敢えずついてきて!
【分かりやすく解説】純資産の内訳について
では、純資産の内訳の構成について解説していきます。
カブ太郎くんのように、ここで嫌になる方もいると思うので出来る限り言葉をかみ砕いて説明しますね。
株主資本
まず最初に出てくるのが、株主資本という項目で、「資本金」「利益剰余金」「自己株式」の3つで構成されています。
各々の言葉の意味について解説していきます。
資本金

資本金は大きく3つの内訳(資本金、資本剰余金、資本準備金)で成り立ってますが、細かく覚えなくて大丈夫です。
資本金=株主から集めてきたお金と捉えてもらえば大丈夫です。
一応、資本金の内訳について解説しますが覚えなくても大丈夫です。
資本金;株主から集めてきたお金のこと。このお金を動かすには株主総会などで議決されないとダメで、簡単に動かすことが出来ない。
資本剰余金;株主から集めてきたお金の保管場所を変えているだけ。理由としては、ここに移すだけでお金を動かしやすくすることが出来るから。
資本準備金;今後のための積立金です。
利益剰余金

利益剰余金とは、損益計算書の当期純利益(税引き後当期純利益)のストックのことです。
ここがしっかり積み上がっているということは、経営が上手く行っており利益が積み重なっているということです。
図解にするとこんなイメージです。

ちなみに利益剰余金も詳細に見ると3項目に分かれますが、補足程度で覚えてもらえば大丈夫です。
利益準備金;配当金を出すなら最低10%くらいは会社の基盤を安定するためにストックしておきなさいと会社法という法律で決まっている準備金のことです。
別途(任意)積立金;災害や、大規模修繕工事など、何かあった時のための任意の積立金のことです。
繰越利益剰余金;当期純利益から先ほどの利益準備金や、別途(任意)積立金を差し引いて絞りに絞った利益のことです。
自己株式

自己株式とは、世の中にある自分の会社の株式を自分で買うことです。
自社株買いということを聞いたことがあると思いますが、まさにそれです。
自社株買いを実行した場合は、表記がマイナスになります。
その理由としては、市場の株式を買い戻すので、投資家にお金を払うと意味で表記がマイナスになります。
自社株買いをするメリット(会社側)
- 敵対的買収への対抗策になる
- 配当金を節約できる
- ROEが改善する

自社株買いをするメリット(投資家側)
- 株価上昇の恩恵を受けやすくなる;市場に出回っている発行済み株式数が減るので、1株あたりの価値(EPS)が高まり、株価が上がりやすくなる。
評価・換算差額等

文字通り、有価証券の評価損益や、繰り延べられた先物取引などの損益、土地評価額の損益、為替損益などです。
数字もさほど大きくないので、そこまで気にする必要はないと思います。
それぞれ保有している有価証券や、土地などの評価差損であると分かっていれば大丈夫です。
新株予約権
将来的に株式を発行しようとしている予約チケットのことです。
新株予約権は、社内向けに発行するストックオプションと、資金調達を目的とした社外向けに発行するものがあります。
ちなみに社内向けに発行するストックオプションとは、会社で働く役員や従業員のモチベーションを高めることを目的に発行されたりします。
非支配株主持分
連結子会社の純資産のうち親会社が所有していない部分が表記されています。
つまり、株主には関係のない純資産のことです。
【まとめ】「純資産の部」の内訳について
以上をすべて足して「純資産の部」が構成されています。
一度視野を広げるためにも下記の図を見てください。

純資産は、大きく分けると株主資本と、自己資本に分けることが出来ます。
自己資本は、会社の安全性を見る指標である自己資本比率を計算する時に使います。
純資産から分かる株式投資のポイント
では、実際に純資産を見て、株式投資にどのように活かせるかをチェックしていきましょう。
自己資本比率
まずは、純資産の自己資本を使って、会社の安全性を見る指標である自己資本比率を計算することが出来ます。
自己資本とは、純資産-(新株予約権+非支配株主持分)のことです。
ですので計算方法としては、自己資本{ 純資産-(新株予約権+非支配株主持分 }÷資産で計算できます。
自己資本比率については過去に記事を書きましたでの、そちらを参考にしてみてください。

自社株買い
自社株買いが行われると、市場に出回っている発行済み株式数が減り、1株あたりの利益が濃くなりますので株価の上昇要因になります。
ただ、貸借対照表に表記されるタイミングでは遅くて、報道された時点で株価は動いたりします。
利益剰余金の推移
利益剰余金が右肩上がりに推移していれば会社として順調に成長していることが分かります。
よって、会社の経営が順調かどうかが利益剰余金の推移から読み解くことが出来ます。
【危険!】もし純資産の部がマイナスだったら・・・
純資産の部がマイナスになっている状態を債務超過といいます。
債務超過の会社はかなり厳しい状態なので、私は投資対象にはしません。
ただ、奇跡の大復活を遂げれば一気に株価は爆上げすると思いますが、、、そんな博打は怖くて打てません。
ちなみにこのような債務超過に陥っている会社がやる事は大きく3つあります。
- 銀行から融資を受ける
- 公募増資を行う
- 第三者割当を行う
ただ、債務超過に陥っている会社はこの3つを実行しても経営難から乗り越えられるかどうかは不明です。
銀行融資の場合は、そもそも融資を受けづらい可能性もあり、もし融資を受けることが出来たとしても純資産の改善にはならず、負債だけが大きくなります。
公募増資も同様で、受け持つ証券会社もリスクがあり、購入する投資家もリスクがあるので、公募増資をしても進まない可能性があります。
銀行からの融資、公募増資も厳しいとなれば、最終的に第三者割当を使って、資金を集める方法もありますがどうでしょうか。
どちらにせよ、債務超過に陥っている会社は投資対象から除外することをおススメします。
2年連続で債務超過に陥ると上場廃止となってしまいますので。
まとめ
貸借対照表の純資産の部を解説してきました。
純資産の部を細かく見ていくと内訳が多くて分かりにくいかと思いますが、ザックリいうと、株主から集めてきたお金と、自分たちで稼いだお金のことです。
純資産の部は会社の安全性を見る指標として重要ですのでしっかり覚えましょう。