貸借対照表の「負債の部」を徹底解説していきます。

貸借対照表の「負債の部」って何のさ?
色々なことが書かれ過ぎてて、見る気がしない…
でも株式投資をするなら読めた方が良いよね?
カブ太郎くん、気構える必要無いよ!
全然難しくないから一緒に勉強しよう。
かみ砕いて説明するから安心して!
貸借対照表の負債の部とは?分かりやすく解説します
貸借対照表の貸方(右側)には、会社経営をする際に必要な資金をどこから集めてきたのか?が記載されています。
”純資産の部”には、「株主から集めてきたお金」と「企業が稼いだお金」が記載されており、返済義務がありません。

今回勉強していく”負債の部”は、銀行や企業などから借りてきている返済義務のある資産が記載されています。
ちなみに負債の部は、”流動負債”と”固定負債”の2種類に分けることが出来ます。
もしかすると流動負債と、固定負債と聞いて「あーもう無理!」と思われる方がいるかもしれませんが、超簡単な内容なのでご安心ください。
- 流動負債:1年以内に返済する必要がある負債のこと
- 固定負債:返済期限が1年超である負債のこと
つまり、借りてきている負債を1年以内もしくは、1年超で返済する必要があるか?で区切っています。


負債の部の”項目”について分かりやすく解説します
負債の部は、返済するまでの期間によって”流動負債”と”固定負債”に分けられると説明しましたが、それぞれの内訳について説明していきます。
流動負債
流動負債の主な項目はこんな感じです。
- 支払手形
- 買掛金
- 短期借入金
- 未払金
- 1年内償還予定の社債
- 1年内返済予定の長期借入金
買掛金(支払手形)
一言でいうとツケ払いのことです。
企業は会社経営のために商品や、材料を買ったりしますよね。
その支払いを直ぐにはせずに、企業に待ってもらっている状態のことです(基本的には支払期日は1~2ヶ月内だと思います)。
私たちもクレジットカード払いで、支払いを後回しにしていると思いますが、同じような感じです。
「毎月末締めの、支払いは翌月10日で」みたいなイメージです。
それを手形でやる場合は、項目が支払手形になります。
短期借入金
銀行などから借りているお金のうち、1年以内に返済が必要なお金のこと
未払金
未払い分のお金のこと
その他「未払金」の種類
- 未払法人税等:通常法人税の支払いは2か月後なので、流動負債の項に記載されます
- 割賦未払金:購入したものを分割で支払っている場合
買掛金と未払金の違いとは?
買掛金と未払金は意味合いが似ていますが、正式には違います。
通常の事業活動の中から生じる未払いは買掛金で処理され、稀に発生する未払いは未払金で処理されます。
例えば…
- 買掛金:事業に必要な「商品」の購入など
- 未払金:突然必要になった「消耗品」など
1年内償還予定の社債/1年内返済予定の長期借入金
社債/借入金ともに、もともとは1年超の返済期限だったが、時間が経過し1年以内に返済する必要性が生じたため、固定負債ではなく流動負債の項に記載します。
固定負債
固定負債の主な項目はこんな感じです。
- 社債
- 長期借入金
- 繰延税金負債
- リース債務
- 資産除去債務
社債
資金調達の為に企業は債券を発行して投資家に購入してもらいます。
社債はいつか返済期限が来ますので、その返済期限の支払いが1年超ということです。
長期借入金
銀行などから借りているお金のうち、返済期限が1年超のお金のこと
資産除去債務
店舗を出店しようとテナント契約をした際に、退去時に必要な原状回復費用を見積もったもの。
ちなみに資産除去債務の動きで、下記のような想像が出来ます。
- 資産除去債務が増える=店舗数を増やしている →出店数を増やして規模拡大を狙っている?
- 資産除去債務が減った=店舗数が減った →不採算店舗を閉鎖してる?
リース債務
リース契約での支払い
”流動負債”と”固定負債”は、入れ替わることがある
流動負債と固定負債は”1年”というのを区切りとして判断すると言いました。
よって、1年超で支払いが必要なお金が、時間の経過とともに1年以内になると固定負債から流動負債へとシフトします。
【参考】負債の部から読み取れる投資判断材料
あー、勉強になった!
満足満足♬
カブ太郎くん、ここで満足したらダメだよ(笑)
実際に投資判断をするヒントを負債の部から掴まなきゃ!
負債の部から読み取れる投資判断材料はどんなものがあるか?解説していきます。
判断材料①:自己資本比率
会社の安全性を見る指標になります。
会社の資産に対して、純資産の割合が分かる指標が自己資本比率です。
言い換えると、返済義務のある負債比率が低い会社を調べる指標になります。
返済義務のある負債が多い会社は多少なりとも倒産リスクが高くなるので、自己資本比率が低い会社は要注意です。
過去記事で自己資本比率についてはまとめましたので、詳細を知りたい方は読んでみてください。

判断材料➁:流動比率
こちらも会社の安全性を見る指標になります。
流動比率は下記計算式で求めることが出来ます。
流動比率(%)=流動資産 ÷ 流動負債 × 100
流動比率を見ることで、1年以内に返済義務のある負債を余裕持って返済できるか?が分かります。
流動比率のパーセンテージが高い企業=財務の安全性が高い企業と言えるわけです。
流動比率が150%以上ある企業が一般的には財務的に安全な会社と言われています。
まとめ
本日は負債の部を見てきました。
借金が多い=悪い会社ではないということだけ誤解が無いようにしてください。
会社を大きくするためには適切な借り入れは必要です(レバレッジをかけると言いますよね)。
また、業界によって負債の部の割合も変わってきますので、気になる会社の負債の部を見た後は同業他社もチェックしてみると良いと思います。