株式投資家であれば誰もが手にしたいテンバガー銘柄。
ここではビジネスモデルが面白い、商品/サービスが特徴的など、将来的にテンバガー銘柄のように株価爆上げの可能性を秘めている銘柄をツカサの独断と偏見で紹介していきます。
今回はKIYOラーニング(7353)を紹介します。
投資は自己責任でお願いします!
【総評】KIYOラーニング(7353)
「学びやすく、分かりやすく、続けやすい」をキャットフレーズに、以下2つのサービスを提供している会社です。
- 個人向けのオンライン資格講座「STUDYing(スタディング)」
- 企業向けの社員研修クラウドサービス「AirCourse(エアコース)」
まだまだ成長フェーズの会社であり、成長していくための積極投資を行っています。
今後の更なる成長が楽しみな会社です。
総合評価:17/20
社長:★★★★
市場性:★★★★★
競合優位性:★★★★
独自性:★★★★
会社概要
KIYOラーニング(7353)
- 上場年月:2020年7月(会社設立2010年1月)
- 本社:東京都千代田区
- 従業員数:52名、平均年齢36.0歳、平均年収516万円
- 監査法人:EY新日本
事業内容
事業内容は大きく2つを展開しています。
- 個人向けオンライン資格講座:STUDYing(スタディング)
- 法人向け社員研修クラウドサービス:AirCourse(エアコース)
それぞれの事業について少し詳しく見て行きましょう。
個人向けオンライン資格講座:STUDYing(スタディング)

売上の90%以上を占めている事業の柱です。
STUDYing(スタディング)は、資格試験に効率的に合格するためのオンライン資格対策講座です。
現在取り揃えられている資格講座は下記のラインナップになっています。

積極的に投資を強化しており、マーケティング(テレビCM、マーケティング人材の採用)にかなり力を入れています。
登録者数は増えているものの、受講料の安い教材が売れており、現金ベースでの売上減少が課題です。
ただ、上記の課題を明確に捉えており、行った戦術がマーケティング力強化となっています。
資格取得講座と言えば、競合も多く存在していますが、STUDYing(スタディング)のポジショニングは下記の通りで、「安い」「難関資格に対応」「合格しやすさ」という3次元ポジショニングマップの中で競合優位性を築いています。

法人向け社員研修クラウドサービス:AirCourse(エアコース)

まだ事業全体の売上構成比が10%未満と小さい事業ですが、今後第2の柱に育てていこうとしています。
会社員向けに様々な研修を企業は実施しますが、それを動画研修という形で提供しているサービスです。
AirCourse(エアコース)はサブスクタイプであり、導入企業数が増えて行けば増えていくほど経営的にも安定的な基盤となってきます。
今後はコース数を充実させていこうとしており、また大企業向けのシステム機能の強化と、今後の成長に向け対策が取られています。
法人向け社員研修サービスも競合が多く存在していますが、AirCourse(エアコース)は「低価格」「コンテンツが豊富・受け放題」「社員教育の効率」という3次元ポジショニングマップの中で競合優位性を築いています。

中期経営計画
個人的に好きなのは、2032年までの長期ビジョンを出している点です。
「グローバルにおける人材育成・活用のリーダー企業」を2032年の目指す姿として、売上高600億円、営業利益120億(営業利益率20%)を目指している。
中長期の成長イメージを下記のように作られており、投資家としてはとても分かりやすくワクワクさせてくれます。
もし仮に売上高600億円を達成出来れば、売上は今の20倍なので、単純計算で株価も20倍になると思います。

定性分析
外部環境(マーケット状況、競合など)
経済産業省がリスキリングの重要性を説いて、ますます個人の学習環境の重要性が問われ始めています。
そういった意味でもKIYOラーニングのビジネスは時流に乗っていると言えます。
下記のスライドを見て頂ければと思いますが、市場ポテンシャルに対して、KIYOラーニングのサービスの売上高はまだまだ小さく成長余地が大きいというのが分かると思います。

また、国内だけに留まらず、外国法人向けの展開も考えているので、マーケットを拡げつつ、事業を拡大していこうとしています。
ただ、対競合という視点で見た場合には激戦市場です。
前途した通り、競合優位性を築こうとはしていますが、激戦市場で戦っているビジネスであるという事は理解した上で、KIYOラーニングの成長を見て行った方が良いと思います。
内部環境(経営者、ビジネス優位性など)
経営者
社長は綾部 貴淑さんという方です。
東京工業大学情報科学科卒業後、1996年に日本オラクルに入社、2003年にアイエイエフコンサルティングに転職し、週末起業という形でスタディングの原型を作り、2010年にKIYOラーニングを創立しています。
インタビュー記事をいくつか見てみたのですが、「他人が作ったルールに合わせるのが苦手」「もともと自分で会社を立ち上げたいと考えていた」「100個くらいの独立プランを考えていた」など、生粋の経営者タイプだと思いました。
決算説明会資料がとても論理的に書かれており、何をすれば業績が伸びていくのか?が大変クリアです。
もともと物理学者を目指していたというコメントがインタビュー記事にありましたので、理系的な思考力の持ち主なのでしょう。
ビジネス優位性
オンライン完結型の資格取得の勉強なので、学習効率という点では競合を凌ぐ優位性を持っていると思います。
また、コロナによりオンラインで勉強することが常態化され、効率性を求める人は増えてきています。
ただ、この分野はかなりの競合が存在しますので、競合優位性をどれだけ長く維持できるか不透明ですし、ターゲットを拡げていかなければいつかは成長が頭打ちになる分野です。
ターゲットを拡げていこうとすると既に競合が存在しているわけで、シェアを奪っていけるか?など注視が必要です。
その他のポイント
- 役員が社長以外に1人しかいないのが気になる
- ただ、2人ともホームページ上に顔写真及び経歴をアップしており、誠実さは伝わる
- 下方修正を出した理由が明確に説明されている点がプラス(2022年12月期2Q)
定量分析
成長性
売上高は下記の通り順調に推移しています。
ただ、2022年12月期第2四半期の発表で下方修正を出してしまっているのが気になります。
理由としては、売れている講座が低価格のものが多く、会員数は増えているが現金ベースの売上が伸びていないという事です。

2032年に売上高600億円、営業利益120億円を目指しているよ
収益性
まだまだ先行投資フェーズであり、全然利益は出ていません。
営業利益率は一時期、10%くらいまでありましたが、赤字体質です。
ただ、販管費の約50%以上が広告宣伝費であり、利益を出そうと思えば簡単に利益を出せるコスト構造ではあります。
将来的には営業利益率20%以上を目指すと宣言しており、現実的にも可能だと思います。
また、どれだけ効率的に利益を上げることが出来ているか?を見るための指標であるROEとROAは悪くない値です。
ROEはもう少し高くなってくれると魅力があるかなと思います。
- ROE:11.5%
- ROA:5.0%

安全性
財務的な安全性に関しては問題なしです。
ただ、赤字体質がゆえに毎年利益剰余金がマイナスを計上していますので、この点に関しては注視しておいた方が良いでしょう。
- 自己資本比率:42.7%
- 流動比率:162%
- 固定比率:26.6%
- D/Eレシオ:0.79倍
財務諸表の読み方について詳しく知りたい方はブログで紹介しているので読んでみてください。




割安性
割安性の観点からはPERとPSRを見てみたいと思います(2022年9月25日現在)。
- PER:EPSがマイナスのため測定不能(単23.12予想で計算すると20.6倍)
- PSR:1.07倍
過去のPERは56倍~117倍であることや、グロース市場×サービス銘柄の単純PERは72.8倍であることを考えるとかなり割安であると判断できます。
PER、PSRの定義についてもブログで紹介していますので、詳しく知りたい方は読んでみてください。


理論株価
私の場合はDCF法を使った理論株価を求める手法を使っていますが、計算すると下記の通り導き出されます。
- 1,823円
2022年9月25日時点の株価が458円ですのでかなり割安です。
投資戦略
今後KIYOラーニングの株価が上昇していくかどうかの判断としては、STUDYing(スタディング)とAirCourse(エアコース)の会員数の推移です。
それでは、KIYOラーニングの天国ケースと、地獄ケースの2つを見て、投資戦略を考えてみたいと思います。
長期ビジョンである2032年で売上高600億円を達成し、営業利益率20%以上を確保(営業利益120億)できた場合です。
この場合、1株益は1560円になると想定。
1株益1560円の場合、PER8倍・15倍・40倍でそれぞれ下記のような株価になります。
- PER8倍:12,480円
- PER15倍:23,400円
- PER40倍:62,400円
PERが40倍付けば今の株価の130倍になります!
ただ、あくまで会社が出している希望的観測なので、2032年ビジョンは参考にしつつ、長期ビジョン達成までの道筋を見ながら、利益が出ている段階で途中で降りても良いとは思います。
売上高が微増した場合で、売上高40億、営業利益4億で考えてみたいと思います。
地獄ケースを考えたとしても、現在の成長率を考えると対前年売上成長率10%は固いと思います。
この場合、1株益は52円になると想定
1株益52円の場合、PER8倍・15倍でそれぞれ下記のような株価になります。
- PER8倍:416円
- PER15倍:780円
地獄ケースであってもPER8倍で現在の株価とほぼ変わりません。
確率的にも株価が上がる方が高く、株価が下がったとしても限定的ですね。
投資は自己責任でお願いします!
まとめ
KIYOラーニングについて調べてみました。
当初、地味な会社のような気がしてたのですが、調べれば調べるほど面白い会社であり、今後の成長期待が出来そうだと思いました。
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