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【初心者向け】売上総利益(粗利)とは?分かりやすく解説します

投資家として見れるようになりたい「損益計算書」には5つの利益が登場します。

その中で1番最初に登場する利益である、売上総利益を分かりやすく解説します。

売上総利益は、別名「粗利」とも言います。

カブ太郎

・売上総利益を見るのはどれだけ重要なの?

・売上原価って何のこと?

・売上総利益を見る上でポイントや注意点を教えて

ツカサ

カブ太郎くん、いつも質問ありがとう!

売上総利益はとても重要な指標で、

特に新興企業を分析する時には大事になってくるから是非とも押さえておこうね!

【初心者向け】売上総利益(粗利)とは?分かりやすく解説します

売上総利益(粗利)とは、売上高から売上原価を差し引いたもので、企業の商品力やサービス力で稼ぐことができた利益のことを言います。

この売上総利益(粗利)を売上高で割った、売上総利益率が同業他社と比べて高いということは、同業他社よりも企業の商品力やサービスが高いとも言えます。

売上総利益を求める計算式はこんな感じです。

売上総利益(粗利)=売上高-売上原価

では、「売上高」と「売上原価」についても少し細かく見ていこうと思います。

売上高

企業が商品やサービスを提供することで稼ぐことが出来た売上金額の総額のことです。

売上高を計算式で表すと、単価×数量となります。

特に新興企業の場合は、この売上高が右肩上がりに推移しているかどうかは重要なポイントになります。

売上原価

商品やサービスを生産する時に直接的にかかった費用のことで、直接経費とも言われます。

売上原価は大まかにいうと以下の3つの項目に分かれます。

  • 材料費・・・仕入れ費用や、原材料など
  • 労務費・・・人件費など
  • 製造経費・・・減価償却費や、水道光熱費など

経費というと、販管費を思い浮かべる方もいると思いますが、販管費は間接経費と言われ、商品やサービスを販売するときにかかる経費のことです。

売上総利益率を求めてみよう!(計算問題あり)

売上総利益率を求めることで、自分が気になっている企業が同業他社と比べて商品力/サービス力に力があるかどうかを調べることが出来ます。

では実際に、トヨタと日産を比較して売上総利益率を求めてみたいと思います。

有価証券報告書_トヨタ_2021年3月期
有価証券報告書_日産_2021年3月期

それぞれ当事業年度で比べてみましょう。

トヨタ

  • 売上高:11,761,405百万円
  • 売上原価:9,939,958百万円
  • 売上総利益:1,821,447百万円

日産

  • 売上高:7,862,572百万円
  • 売上原価:6,811,747百万円
  • 売上総利益:1,050,825百万円

売上総利益率

トヨタ:1,821,447百万円÷11,761,405百万円×100=15.49%

日産:1,050,825百万円÷7,862,572百万円×100=13.36%

売上原価率

トヨタ:9,939,958百万円÷11,761,405百万円×100=84.51%

日産:6,811,747百万円÷7,862,572百万円=86.64%

以上から分かることは、トヨタの方が日産よりも効率よく商品を作れており、高い商品力を持っているということです。

今回は分かりやすく当事業年度だけで見ているけど、理想は複数年(最低でも3年)で見ることをおススメするよ!

売上総利益(粗利)を見るときの注意点とポイント

売上総利益(粗利)を見るときには以下の点を押さえてください。

  • 単年ではなく複数年(最低でも3年)で見る
  • 売上高/売上原価が大きく変わっている時はその理由を調べる

これらを意識して売上総利益(粗利)を見ることで、「この企業に投資しては危険」「この企業は投資チャンスがある」ということが見えてきます。

  • 右肩下がりに売上総利益(粗利)が減っている
  • 売上総利益(粗利)がマイナスになっている
  • 右肩上がりに売上総利益(粗利)が増えている
  • 売上総利益率が同業他社と比べて高い

ただ最近ではコロナの影響で飲食業界などは売上総利益(粗利)が右肩下がりに減っていると思います。

コロナのように特例で外部要因に影響されるケースもあるので、単年ではなく複数年で売上総利益(粗利)の推移を見ることが大事なのです。

ちなみに企業が売上総利益(粗利)を上げようと思ったらどうすれば良いと思いますか?

それは、2つの方法しかありません。

  • 売上高を増やす
  • 売上原価を減らす

「売上高を増やす」には前途した売上高の計算式である単価×数量のように、単価を上げるか、数をたくさん売るかの2択しかないのです。

「売上原価を減らす」はある程度の成熟企業であれば可能かもしれませんが、新興企業の場合は売上原価を減らすことで商品力/サービス力の低下に繋がる危険性もあります。

まとめ

売上総利益(粗利)について解説してきました。

まずは企業として商品やサービスが売れないと話になりません。

売上総利益(粗利)を見て、投資したい企業が同業他社と比べて商品力/サービス力が高いかどうかを見極めましょう!