投資しようと思っている企業の”成長性”と”安全性”の両方をチェックすることは大事なことです。
本日はその中でも”安全性”の指標であるD/Eレシオについて解説していきます。
D/Eレシオの意味や、計算方法が分からない…
D/Eレシオの目安はどれくらいを信じれば良いの?
D/Eレシオの計算で使う有利子負債ってどれを言っているの?
自己資本比率との違いは?ネットD/Eレシオってなに!?
たくさんの質問をありがとう!
D/Eレシオって基本的には書かれていないから自分で計算するしかないんだよね。
実例を交えながら分かりやすく解説するね!
【安全性の指標】D/Eレシオの意味、計算方法、目安を解説します
D/Eレシオとは、自己資本に対して有利子負債がどれくらいあるかを見た指標になります。
正式にはDebt Equity Ratioと言います。
- Debt:負債(D/Eレシオを計算する場合は有利子負債という意味)
- Equity:自己資本
- Ratio:倍率
Debtは負債のことですが、D/Eレシオを求める場合は有利子負債を使用します。
人によっては「負債」を使ってD/Eレシオを求める人もいますが、これだと自己資本比率と変わらないので、D/Eレシオを求める際は有利子負債を使用することをおススメします。
D/Eレシオは下記の計算式で求めることが出来ます。
D/Eレシオ(倍)=有利子負債÷自己資本
この計算式からも分かるように、D/Eレシオが1倍以下であれば有利子負債を自己資本で賄えることが出来ると言えます。
計算式を見れば当たり前の話ですが、D/Eレシオの考え方は下記のとおりです。
- D/Eレシオ=1倍:有利子負債と自己資本の金額が同じ
- D/Eレシオ>1倍:有利子負債の方が、自己資本よりも多い
- D/Eレシオ<1倍:有利子負債よりも、自己資本が多い
一般的にはD/Eレシオが1倍以下の企業が安全性が高いと言えます。
また、D/Eレシオの倍率が小さければ小さいほど安全性が高い会社であると言えます。
D/Eレシオを見ることで、自己資本だけで利子付きの借入金を返済できる能力があるかどうかが分かります。
業種によって負債の割合が変わってきますので、一概に自分の気になる会社のD/Eレシオだけで判断しても分からない事もあります。
なぜなら設備投資を行う会社はどうしても負債の割合が高くなり、D/Eレシオが1倍を超えてしまう事も多いです。
よって気になる場合は同業他社のD/Eレシオと比較してみましょう。
D/Eレシオで用いられる”有利子負債”の内訳について
有利子負債って何でしょうか?
有利子負債とは利払いをする必要がある負債のことで、下記4つが該当します。
- 短期借入金/長期借入金
- 社債
- コマーシャル・ペーパー(CP)
- リース債務
参考として、下記にティーケーピー(3479)の有利子負債を赤枠で囲ってみました。
赤枠以外の負債は利息を伴わない負債ということで有利子負債ではないということです。

ちなみに有利子負債の利息が毎年どれくらい掛かっているのは気になりませんか?
有利子負債の利息が毎年どれくらい掛かっているかをチェックする方法
損益計算書の営業外費用の欄をチェックすれば分かります。
赤枠で囲っている項目が有利子負債の利息部分になります。

【実践】D/Eレシオを自分で計算してみよう!
では早速D/Eレシオを自分で計算してみましょう。
参考にするのは、楽天証券・SBI証券・四季報の3つです。
楽天証券で調べる方法
まずは証券口座を開いて、銘柄を検索します。
次に、「四季報」→「業績・財務」をクリックすれば、自己資本及び有利子負債の項目を調べることが出来ます。

有利子負債は54,118(百万)で、自己資本は35,158(百万)です。
よって、D/Eレシオは1.54(≒54,118÷35,158)となります。
SBI証券で調べる方法
まずは証券口座を開いて、銘柄を検索します。
次に、「四季報」→「財務状況」をクリックすれば、自己資本及び有利子負債の項目を調べることが出来ます。

有利子負債は54,118(百万)で、自己資本は35,158(百万)です。
よって、D/Eレシオは1.54(≒54,118÷35,158)となります。
四季報で調べる方法
四季報で銘柄検索をすると、トップページに自己資本及び有利子負債の項目が出てきます。

有利子負債は54,118(百万)で、自己資本は35,158(百万)です。
よって、D/Eレシオは1.54(≒54,118÷35,158)となります。
だいたいの値が調べたければ、こんな簡単に調べることが出来るよ!
まずはだいたいの値を今のように調べて、D/Eレシオが1倍を超えていて不安な場合に有価証券報告書などで詳細をチェックしてくという順番かな。
【疑問解決】自己資本比率との違いって?ネットD/Eレシオって?
D/Eレシオを知ると「自己資本比率との違いってなに?」や、「ネットD/Eレシオとの違いはなに?」という疑問が出てくるのではないでしょうか?
その疑問に対して、これから解説していきます。
D/Eレシオと自己資本比率の違いとは?
計算式を見れば理解出来ると思います。
- 自己資本比率(%)=自己資本÷資産
- D/Eレシオ(倍)=有利子負債÷自己資本
自己資本比率の場合は、資産に対する自己資本の割合を見ており、言い換えれば資産に対して「負債の割合はどれくらいあるか?」を見ています。
D/Eレシオの場合は、有利子負債の割合がどれくらいあるか?を見ています。
つまり、負債全体(自己資本比率)に着目しているか?、有利子負債(D/Eレシオ)だけに着目しているか?の違いです。
この両方をチェックしておくと財務の安全性をより厳しくチェックできると思います。
過去に自己資本比率だけをまとめた記事を上げていますのでチェックしてみてください。

D/EレシオとネットD/Eレシオの違いとは?
ネットD/Eレシオとは、(有利子負債-現預金)/自己資本で求めることが出来ます。
現預金はもっとも流動性の高い資産になり、もし緊急性が高くすぐにでも有利子負債を返済しないといけないという状況に追い込まれても対応可能です。
つまりネットD/Eレシオを見れば、企業の返済能力のギリギリラインを知ることが出来るのです。
ちなみに、現預金の定義はこんな感じです。
現預金とは、現金及び現金同等物のことを指します。
- 現金:現金、普通/当座預金
- 現金同等物:一般的には3か月以内に現金化出来るものを指します(例えば3か月以内に引き出せる定期預金、コマーシャル・ペーパーなど)
個人的にはD/Eレシオだけ理解していれば大丈夫かなと思います。
まとめ
企業の安全性を知れるD/Eレシオについて解説してきました。
せっかく大事なお金を使って企業に投資するのであれば、多少なりとも安全性の高い企業へ投資したいですよね。
その為にもD/Eレシオが計算でき、だいたいの目安が理解できると良いと思います。