- 株価が底だと思って買ったら、さらに株価が下がってしまった…
- 高値掴みして大損した…
- TwitterやYahoo!掲示板で盛り上がっている銘柄を買ったら暴落した…
このような経験がある個人投資家は結構多いのではないでしょうか?
上記の失敗を出来る限り少なくするためには「企業分析」をする力を養う必要があります。
企業分析が出来ると、投資に根拠が持てるので、勝てる確率が上がります(負ける確率を低くするとも言います)。
私は株式投資を始めたころは情報に踊らされ、銘柄を深く調べずに買ってしまい大損してしまった経験があります(今も戒めのつもりで含み損のまま保有しています…)。
そこから企業分析の大事さを理解して、今では銘柄を購入する前にはしっかり企業分析をして、投資戦略を立てています。
株式投資で企業分析が出来るようになると株式投資が楽しくなりますよ!
株式投資での企業分析のやり方6Step
銘柄リサーチは既に完了しているという前提で、これから先の話を進めていきます。
もし、そもそもの銘柄リサーチをどうやってやれば良いのか?良く分からない方は過去記事を読んでみて下さい。


では早速ですが、どういう視点で企業分析を行えば良いのか解説していきます。
ザックリと企業分析の流れを説明すると「定性分析」と「定量分析」を行い、最後に「投資戦略」を立てます。
この、「定性分析」と「定量分析」はさらに細分化すると計6つのStepに分かれます。
定性分析
- 事業内容と社長を理解する
- 市場・顧客を分析する
- 競合を分析する
定量分析
- 成長性ををチェックする
- 安全性をチェックする
- 割安性をチェックする
では、具体的に上記6つのStepについて解説していきます。
「定性分析」のやり方
定性分析を行う際に見て頂きたいのは一般的にビジネスの世界で言われる3C分析というものです。
- Company:投資候補の企業(事業内容、社長を分析)
- Customer:市場・顧客(市場・顧客を分析)
- Competitor::競合他社(競合を分析)
ではどういう点に注意しながら分析するのか?を解説していきます。
定性分析の流れは、出来ればCompany(投資候補の企業)→Customer(市場・顧客)→Competitor(競合他社)の順番をおススメします。
事業内容と社長を分析する:Company
具体的にチェックして頂きたい項目は下記の3つです。
- 事業内容及び、成長性
- 社長
- その他もろもろ
さらに具体的に説明して行きます。
事業内容及び、成長性
会社のホームページを見て事業内容が理解できればOKですが、もし理解が難しい場合はYouTube検索をしてみてください。
YouTube動画上で事業内容を分かりやすく紹介しているものがあったりします。
クックビズ藪ノ賢次社長/コロナ禍をきっかけに変革!アナログな飲食業界が激変!(1/3)|JSC Vol.417 – YouTube
また会社四季報や、口座を開設している証券会社のページでも簡単に説明してくれたりしているので調べてみると良いです。
会社四季報
赤枠の部分を見ると企業の事業内容が分かります。

マネックス証券の『銘柄スカウター』
企業情報の欄を見ると企業の事業内容だけでなく、取扱い商品もわかる。

ここでのポイントですが、もし複数の事業を展開している企業であれば売上/利益の主軸となる事業は何か?をしっかり見極めましょう。
この主軸の事業が上手く行けば株価は上がりますし、苦戦を強いられてしまえば株価は下がります。
事業の成長性については後ほどの市場性、競合との差別化などを複合して考えてみましょう。
社長
特にマザーズ市場に上場している企業であれば「社長」が全てと言っても過言でないくらい社長を分析することは大事です。
どんな生き方をしていて、どんな性格で、どんなビジョンを持っているのか?を調べましょう。
社長名をググれば何かしらヒントを得れるような記事や動画が出てくると思います。
個人的には下記の4つをポイントに社長を見ています。
- 創業社長か?
- 野心的か?
- 論理的か?
- 株価を上げようという意識はあるか?
その他もろもろ
その他もろもろ押さえておきたいポイントもありますのでお伝えします。
このあたりは必須条件ではないですが、株価を上げようとしている企業なのか?雰囲気が分かる項目だと思います。
- 社長及び役員がホームページ上に顔出ししているか?(していると◎)
- IRページへの遷移は分かりやすいか?
- IRへの質問は丁寧に回答してくれるか?(1つくらい質問して反応を見てみることをおススメします)
- 決算説明会資料は分かりやすいか?
- 定量的な目標を掲げているか?(20○○年に売上目標○○億円など)
市場・顧客を分析する:Customer
市場・顧客を分析していくためのポイントは下記2つです。
- 市場規模はどれくらいあり、伸びている市場なのか?
- ターゲットとしている顧客はどこなのか?
さらに具体的に説明して行きます。
市場規模はどれくらいあり、伸びている市場なのか?
市場を見る際にこの2つのポイントは必ず押さえてください。
- 市場規模=その企業の成長限界点
- 市場が伸びていると企業も市場の伸びに引っ張られ伸びていく(逆に市場が鈍化していると企業も成長鈍化する可能性がある)
例えばサイバーセキュリティ関連の市場を見たいと思えば、「サイバーセキュリティ 市場規模」と検索窓に入力してググればネット上で簡単に調べることも出来ますし、企業の決算説明会資料でも掲載してくれている企業もあります。
インターネットから検索をかける
メジャーな市場であれば簡単にヒットできます。

企業の決算説明会資料から調べる
下記のように市場性を出している企業は多い

また+ポイントとしては政策です。
国が推進しようとしている市場にはお金が流れ込んできます。
このあたりも押さえておくと市場規模・伸びだけでなく、市場の変化もキャッチできるようになります。

ターゲットとしている顧客はどこなのか?
ザックリ言うとビジネスはB to Bビジネスか、B to Cビジネスのどれかになります。
- B to Bビジネス:取引先が企業
- B to Cビジネス:取引先が消費者
もし取引先が企業(B to Bビジネス)である場合、上場企業はネームバリューがありますので、上場=ビジネスが加速する可能性を秘めています。
競合他社を分析する:Competitor
意外と分析を行う上で抜けがちなのが、競合他社の観点です。
競合他社の力が強すぎると、いくら頑張っても業績を上げることは出来ず、株価も低空飛行を続けてしまう可能性もあります。
または、成長してきている競合他社に顧客を取られてしまう危険性もあります。
特にレッドオーシャン市場と言われている業界では「競合」を知るのは重要なポイントです。
以下の3つのポイントを押さえながら競合分析をしてみましょう。
- 同様のビジネスをやっている企業?ビジネスは何が違うのか?
- 競合他社よりもビジネスは優位はあるか?
- 競合他社にビジネスを真似される危険性は?
この観点はそもそものビジネスを知る必要があるので、後半に企業分析が出来るようになるための勉強法を紹介していますので参考にしてみてください。
「定量分析」のやり方
定量分析を行う際に見て頂きたいポイントは大きく3つです。
- 成長性は?
- 安全性は?
- 割安性は?
このポイント3つを具体的に見るために、損益計算書と財務諸表を見る必要があります。
ただ、細かく計算しなくても四季報や証券会社のサイトで簡単に調べることが出来るのでご安心ください。
でも損益計算書と財務諸表について見れることに越したことはないので、もう少し深く学びたいという方は過去に記事を書いていますので参考にしてみてください。
成長性をチェックする
成長性がある会社は利益が出てきますので、最終的に株価に還元され、株価が上昇して行きます。
従って、株価の上がる企業に投資したいのであれば成長性のある企業に成長するほかないのです。
この際にチェックしておく指標は以下の3つです。
- 売上は右肩上がりに成長を続けているか?
- 営業利益及び、営業利益率はどうか?(利益を出そうと思えば出せるのか?)
- 効率よく事業を運用出来ているか?
売上は右肩上がりに成長を続けているか?
売上が右肩上がりに上がっている=企業が成長していることになります。
マザーズ銘柄だと売上は右肩上がりに上がっているが営業利益に波のある会社もあります。
その理由はマザーズ銘柄のような新興企業だと、先行投資をまだまだ積極的に行っていますので、コスト分が売上から差し引かれ利益が出ないケースも良くあります。
ただ、売上が伸び続けているのであればいつか利益に還元されてきますので、まずは売上が右肩上がりに順調に上がっている企業を選びましょう。
営業利益及び、営業利益率はどうか?
結局のところ利益が出ないと株価には反映されません。
従って、本業で稼いだ利益という観点で営業利益を見ることはとても重要です。
利益には、経常利益や当期純利益などもありますが、この2つの利益は特別損益の影響で上下することもありますので、利益を見るのであれば「営業利益(本業で稼いだ利益)」だけを見ておけば良いと思います。
また、営業利益の「額」だけでなく、「率」も見ておくことをおススメします。
その理由としては、営業利益率が高いと最終的に株主に還元される利益も大きくなるからです。
ただ、コスト構造上、いくら頑張っても利益率を上げることが出来ない企業もありますのでご注意ください(例えば売上原価が高いとか、売上が伸びるに比例して人件費が積み上がってしまう等)。
効率よく事業を運用出来ているか?
上場企業は投資家からお金を集めて事業を行っています。
つまり投資家から集めた資金を効率よく事業成長(利益増)に使えているか?は大事なポイントだと思いませんか?
そういった意味でも事業の効率性を見ることは大事で、その代表的な指標をROE/ROAと言います。
指標の具体的な意味などについては割愛しますが、興味がある方は過去記事を読んでみてください。

安全性をチェックする
いきなり投資した企業が倒産するなんて嫌ですよね?
どういった倒産リスクを防ぐための指標が財務の安全性を見るための下記指標です。
- 自己資本比率
- 流動比率
- 固定比率
- D/Eレシオ
細かい内容は過去記事を読んで頂きたいと思いますが、この項目を満たせていればまず倒産することはあり得ません。




また、お金の流れは適切か?を見ることも安全性をチェックする上で重要なポイントです。
決算内容を操作しようと思えば経営者は出来てしまいます。
しかし、現金の流れは操作しようにも操作することが難しいです。
従って、キャッシュフローを見ることで経営の安全性を見ることが出来ます。
基本的に営業キャッシュフローがプラスであれば問題ないです
もし営業キャッシュフローがマイナスの企業に投資しようとしていたら「?」と思ってください。
営業キャッシュフローがマイナスという事は事業を営めば営むほどマイナスになっているという事ですので。
このような会社への投資は控えておいた方が良いと思います。
キャッシュフローについて詳細を知りたい方は過去記事を読んでみてください。

割安性をチェックする
株価の割安性をチェックすることはとても大事です。
なぜならば、株価が割高なのにも関わらず銘柄を買ってしまい大きな損失を被ってしまうことは往々にしてあります。
それを防ぐためには株価の割安性をチェックする必要があります。
株価の割安性をチェックする方法は下記の通り3つあります。
- PERをチェックする
- PSRをチェックする
- 企業価値を計算する
PERとPSRは簡単に調べることが出来ますが、企業価値の計算方法については特殊な方法が必要なので今回は割愛します。
私が定期的に更新している「テンバガー銘柄を探せ!」コーナーでは、企業価値を計算して、株価を試算しています。
PERとは?
PERとは、Price Earnings Ratioの略で、日本語で株価収益率ともいいます。
一言でいうとPERとは、企業の株価の割安性を測る”ものさし”です。
一般的にPERの平均値は15倍くらいと言われています。
ただ、上場している市場によってPERの平均値は変わってきますので、その点はご注意ください。
下記過去記事に記載していますのでご確認頂ければと思います。

この一般的なPERの値に対して投資したい企業のPERが割高なのか、割安なのか?は確認しておくことをおススメします。
PERが割高か?割安か?をチェックする方法として、一般的な市場平均に対してどうか?という視点と、その企業の過去のPER平均値の推移を参考にすることをおススメします。
PSRとは?
PSRとは、Price Sales Ratioの略で、日本語で株価売上高倍率と言います。
新興企業などの小型グロース株投資の割安性の判断をするのに最適な指標です。
一般的にPSRは新興企業の割安性を判断する指標になってきますので、上場してからの歴が長い企業はあまり参考になりません。
PSRについては過去記事でまとめていますので気になる方は読んでみてください。

マザーズ銘柄であればPSR3倍までであれば妥当な値だと思います。
もしPSR1倍や、1倍を切っている銘柄があるようであればかなり割安だと判断できます。
もっと深く企業分析がやりたい人の学び場
もっと企業分析が出来るようになりたい!どうすれば良いの?
僕がどうやって勉強をしているのか方法を教えるね!
一緒に企業分析が出来る投資家になろう!
投資スクールに行く
本気で株式投資を学びたいと思うのであれば投資スクールに行くことをおススメします。
私も実際は本だけでなく、投資スクールで株式投資を学んでいます。
個人的におススメの投資スクールは下記2つです。
私はグローバルファイナンシャルスクールとファイナンシャルアカデミーの両方を体験して、最終的にグローバルファイナンシャルスクールに入会しました。
どちらも低価格で体験することが出来るので、一度覗いて見ることをおススメします!
本で学ぶ
本でも十分に株式投資の勉強は出来ます。
私個人的におススメの書籍は下記5点です。
テクニカル分析ではなく、ファンダメンタルズ分析的要素が含まれている本が私は好きです。
そもそものビジネスを学ぶ
少し遠回りにはなりますが、企業分析のイロハを学ぶためにはそもそものビジネスを学ぶことをおススメします。
わたし自身株式投資をする前からビジネススキルを高めるためにグロービスでビジネスの勉強をしていました。
その結果、企業が行おうとしているマーケティング戦略の妥当性であったり、ビジネスの構造などを理解しながら投資が出来るようになりました。
過去記事でグロービスのことも書いていますので、興味がある方は覗いてみてください。


株式投資に限らずビジネスを学ぶことは人生を豊かにするための方法の1つだと思っています。
まとめ
株式投資を行うための企業分析のやり方についてまとめてみました。
企業分析が出来ると投資をするための根拠が持てますので、投資を自信をもって行うことが出来ます。
企業分析が出来る投資家を一緒に目指しましょう!