株式投資をする上で知っておきたい財務三表の1つにキャッシュフロー計算書があります。
キャッシュフロー計算書とは1年間のお金の流れを記録したもので、企業の財務状況を「現金の流れ」という視点で厳しくチェックすることが出来る財務諸表の1つです。
・キャッシュフロー計算書って読めた方が良いの?
・営業CF、投資CF、財務CFはプラスが良いの?マイナスはダメな会社なの?
・株式投資にはキャッシュフロー計算書は必要ないよね?
・良く分からないから初心者でも分かるように説明してよ!
カブ太郎くん、初めてだと良く分からないよね(笑)
でも安心して、押さえるべきポイントはちょっとだけだよ!
前半パートで最小限押さえておけば良いポイントを解説して、後半パートでさらに詳しく知りたい人向けに掘り下げて解説していくね!
ちなみに、残り2つの財務三表(貸借対照表、損益計算書)については過去記事でまとめていますので興味のある方は読んでみてください。


投資初心者向け|キャッシュフロー計算書とは?わかりやすく簡単解説
キャッシュフロー計算書とは文字通り現金の流れがまとめられた書類のことです。
キャッシュフロー計算書には1年間(期首~期末まで)の現金の流れ(増減)が書かれています。
なぜキャッシュフロー計算書が読めると良いかというと下記2つの理由からです。
- 会社の成長フェーズが把握できる
- 経営状況が危険な会社を見抜くことができる
次のパートで詳しく説明するからお楽しみに!
3つのキャッシュフローについて解説(営業CF/投資CF/財務CF)
キャッシュフロー計算書は”営業活動によるキャッシュフロー”と、”投資活動によるキャッシュフロー”と、”財務活動によるキャッシュフロー”の3つに分けることができます。
以下、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローに統一します。
営業キャッシュフロー
本業に関連する現金の流れ(増減)が書かれています。
営業キャッシュフローがプラスであれば本業で稼げていることが分かり、マイナスであれば本業では稼げていないことが分かります。
投資キャッシュフロー
設備投資や、企業買収、資産運用などの投資に関する現金の流れ(増減)が書かれています。
投資キャッシュフローがプラスであれば工場などの設備投資を売り払って現金化している可能性があり、マイナスであれば逆に設備投資などにお金を投資していることが分かります。
財務キャッシュフロー
金融機関や企業からの借入れ、返済などの現金の流れ(増減)が書かれています。
プラスであれば金融機関などから借り入れをしており、マイナスであれば金融機関などへ返済をしていることが分かります。
【おススメ】ツカサが理想とするキャッシュフローの状態
私が投資判断で理想とする会社の各キャッシュフローの状態はこんな感じです。
- 営業キャッシュフロー:プラス
- 投資キャッシュフロー:マイナス
- 財務キャッシュフロー:プラス、マイナスどちらが良いとは一概に言えない
- フリーキャッシュフロー:プラス
なぜ上記の状態が理想なのか?を解説していきます。
まず、なぜ営業キャッシュフローがプラスが良いのか?ということですが、営業キャッシュフローがプラスということは、本業でしっかり稼げているということが証明できるからです。
また、投資キャッシュフローのマイナスがなぜ良いのか?ということですが、マイナスということはお金が外に出て行っているということです。
つまり、会社の将来のためにしっかり設備投資や企業買収など成長のための投資をしていることが投資キャッシュフローがマイナスであると分かります。
やはり、会社が成長して株価が上昇するためには将来の投資は必要です。
財務キャッシュフローがプラスの場合は金融機関などからお金を借り入れており、マイナスの場合は過去の借入れを返済している状態です。
会社の事業が成長して利益が出ているのであれば財務キャッシュフローはマイナスになりますし、会社の事業規模をさらに大きくさせたいけど今の手持ち資金では足りないのであれば借入れをしますので財務キャッシュフローはプラスになります。
将来の投資を行いつつ(投資キャッシュフローがマイナス)、投資が上手く行き本業でしっかり稼ぎ出せている(営業キャッシュフローがプラス)状態が理想です。
新興企業の場合はレバレッジをかけて成長しようと思っているので、財務キャッシュフローがマイナスであれば成長意欲があるなと想像できます。
フリーキャッシュフローの解説
フリーキャッシュフローとは、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを足したものです。
キャッシュフロー計算書の計算式は下記のとおりです。
フリーキャッシュフロー=営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー
略して、フリーCF=営業CF+投資CFと表現したりします。
フリーキャッシュフローとは、一言でいうと会社が自由(フリー)に使えるお金のことです。
もしフリーキャッシュフローがマイナスであれば、身の丈に合った事業活動が行えていない可能性があり、将来的なリスクを抱えています。
なぜならば、投資キャッシュフローのマイナス分を営業キャッシュフローで補えていないとなると、企業の将来への投資が本業への稼ぎに繋がっていないことが示唆されるからです。
特に積極的に事業を大きくしようとしている新興企業の場合はチェックした方が良いかもしれません。
ただし設立間もない会社はフリーキャッシュフローがマイナスということはあり得ますので、単年だけでフリーキャッシュフローがマイナスだからダメと判断せず複数年見ましょう。
【ポイント解説】キャッシュフロー計算書を投資判断に用いるためには?
前項でお伝えした「キャッシュフロー計算書」が読めた方が良い意味ですが、下記2つと説明しました。
- 会社の成長フェーズが把握できる
- 経営状況が危険な会社を見抜くことができる
どうしてそのように言えるのが解説していきます。
会社の成長フェーズが把握できる
現金の流れを見ると会社の成長フェーズが把握できます。
一般的に企業のライフサイクルは下記のようになると言われています。

私が投資対象としている小型の新興企業の場合は①➁に当てはまると思います。
もし④~⑤の企業に投資してしまったらそのあとは衰退の一途を辿り株価も下落トレンドを形成すると思いませんか?
よって、キャッシュフロー計算書が読めると、企業の成長サイクルが分かり適切な投資タイミングがわかるのです。
投資をするなら、①~③の企業に投資したいですね。
経営状態が危険な会社を見抜くことができる
キャッシュフロー計算書を見れば、経営状態が危険な会社を見抜くことも可能です。
例えば、下記2つの事例の会社は危険な可能性があります。
営業キャッシュフローがマイナス
新興企業の場合は十分にあり得ますが、営業キャッシュフローがマイナスということは本業で稼げていないので要注意です。
もし営業キャッシュフローがマイナスの状態が続くのであれば、そもそも本業で稼げていないということで商品やサービスのニーズがない可能性もありますし、そもそも本業のマイナスを補填しないと倒産してしまうリスクもあります。
たまに営業キャッシュフローがマイナスで投資キャッシュフローと財務キャッシュフローがプラスの会社がありますが、この場合は営業キャッシュフローのマイナス分を工場を売り払ったり(投資キャッシュフロープラス)、銀行からの借入れ(財務キャッシュフロープラス)で補おうとしている可能性があります。
私はよっぽどのことがない限りは営業キャッシュフローがマイナスの会社には投資しません。
営業利益の伸びに対して営業キャッシュフローの伸びが小さい場合(もしくはマイナスの場合)
この会社の場合、最悪のケースは損益計算書に架空の売上を計上している可能性があります。
営業利益が伸びているのであれば、会社の現金が増える可能性が高いです(営業キャッシュフローもプラスに増えていく)。
しかしながら、営業利益が伸びているにも関わらず営業キャッシュフローが伸びていない、もしくはマイナスの場合は何かあります。
1つの可能性としては販売先に商品やサービスは売れているものの、”ツケ払い分(売掛金)”の回収が出来ていない可能性があります(営業キャッシュフローにまだ反映されていない)。
この場合であれば、理由が明確なので問題ありません。
しかし、ツケ払い分とウソをついて売掛金の数字を操作することも残念ながら出来てしますので、もし損益計算書の営業利益が伸びているのに営業キャッシュフローが伸びていない、もしくはマイナスになっている企業は注意して見てみましょう。
キャッシュフロー計算書は現金の流れをすべて記載しているので、ごまかしが難しいです。
【さらに知りたい人向け】キャッシュフロー計算書の見方と、財務三表との関係
投資初心者は先ほどまでの情報で十分です。
さらに知識を深めたい方はこれから先を読み進めて頂ければと思います。
【さらに知りたい人向け】キャッシュフロー計算書の見方

営業キャッシュフローだけ”小計”という項目があるので簡単に解説します。
基本的には営業キャッシュフローの”小計”までが本業での現金の流れ(増減)を指しています。
”小計”以降は本業での稼ぎとは関係のない、利息であったり法人税などが足し引きされて最終的に営業キャッシュフローが導き出されます。
ちなにに、営業キャッシュフローの計算は税引き前当期純利益からスタートします。
そして、減価償却費や、その他除却損なども足し戻して、運転資金(売上債権、棚卸資産、仕入債務)分を調整します。
なぜ当期純利益を使わず”税引前当期純利益”を使うのか?
それは法人税分を抜きたいからです。
法人税は決算書を作る2か月後に支払うことが多いです。
キャッシュフロー計算書は純粋に現金の流れに注目しているので、”いま”支払っていない法人税分は差し引かないのです。
よって、当期純利益ではなく税引前当期純利益を使います。
【さらに知りたい人向け】キャッシュフロー計算書と財務三表との関係
財務三表は全てが繋がっています。
キャッシュフロー計算書と、貸借対照表、損益計算書の関係性を下図で見てみましょう。

いかがでしょうか?
キャッシュフロー計算書の”現金の期末残高”は、貸借対照表の”現金及び預金”と繋がっています(同じ金額になります)。
また、キャッシュフロー計算書の営業キャッシュフローの計算の始まりとなる”税引前当期純利益”は、損益計算書の税引前当期純利益のことを指しています。
この関係性が分かると財務三表は別々に存在するのではなく繋がっているということがイメージできるかと思います。
まとめ
キャッシュフロー計算書についてまとめてみました。
キャッシュフロー計算書を見れば、会社の成長フェーズがどこなのか?
また、経営状況が良いのか悪いのか?も見抜くことが出来ます。
ポイントだけで良いと思いますので、見れるようになると投資の自信もさらに付くと思います。