貸借対照表の「資産の部」を徹底解説していきます。

貸借対照表の「資産の部」って何のさ?
色々なことが書かれ過ぎてて、見る気がしない…
でも株式投資をするなら読めた方が良いよね?
カブ太郎くん、気構える必要無いよ!
全然難しくないから一緒に勉強しよう。
かみ砕いて説明するから安心して!
貸借対照表の資産の部とは?分かりやすく解説します
貸借対照表の借方(左側)には、会社経営をするための”お金の使い道”について記載されています。
右側の貸方(負債の部・純資産の部)については過去記事でまとめていますので、興味のある方は読んでみてください。


資産の部は、”流動資産”と”固定資産”の2種類に分けることが出来ます。
もしかすると流動資産と、固定資産と聞いて「あーもう無理!」と思われる方がいるかもしれませんが、超簡単な内容なのでご安心ください。
- 流動資産:1年以内に現金化する事ができる資産
- 固定資産:現金化するのに1年超必要な資産
つまり、資産を現金化するまでに1年以内もしくは、1年超必要か?で区切っています


資産の部の”項目”について分かりやすく解説します
資産の部は資産を現金化出来るまでの期間によって”流動資産”と”固定資産”に分けられると説明しましたが、それぞれの項目について説明していきます。
流動資産
流動資産の主な項目はこんな感じです。
- 現金及び預金
- 売掛金及び、受取手形
- 有価証券
- 商品及び、製品
- 半製品
- 仕掛品
現金及び預金
現金もしくは、1年以内に引き出せる預金のことです。
以下紹介する各項目よりも現金化出来るスピードが速い(むしろ現金ですが…)ので、事業上どうしてもお金が必要になった時に即金性が高いので会社を守ってくれることになります。
よって現金及び預金が潤沢な会社は財務的に安全とも言えるわけです。
売掛金(受取手形)
代金の支払いを販売元に待ってあげている状態のことです。
一言でいうとツケ払いを待ってあげている状態です。
私たちもクレジットカードで支払った場合、お店に支払いを待ってもらっていると思いますが、同じ状況です。
「毎月末締めの、支払いは翌月10日で」みたいなイメージ。
そのやり取りが手形であれば、受取手形になります。
有価証券
株や債券などで、売買目的の有価証券になります。
売買目的なので1年以内に売却可能だということです。
棚卸資産
販売目的の商品/製品と、商品になるまでの半製品、仕掛品、原材料などのことです。
商品と製品の違いとは?
- 商品:自分たちで手を加えておらず、仕入れたものをそのまま販売するもの
- 製品:自分たちで手を加えて販売しているもの
半製品/仕掛品/原材料/貯蔵品の違いとは?
- 半製品:中間的製品のことであり、既に加工が終わり貯蔵中で販売が出来る状態のもの(ミカンジュースを例にすると、ミカンをミキサーにかけて出来上がった状態)
- 仕掛品:製品、半製品などに移る前の状態(ミカンジュースを例にすると、ミキサーにかける前にミカンの皮をむいて、準備している状態)
- 原材料:仕入れたままの状態(ミカンそのもの)
- 貯蔵品:製品を作るために必要なもの(器具や、梱包資材など)
その他
その他として下記の項目がありますので、簡単に補足させて頂きます。
- 短期貸付金:1年以内に返済してもらうことになっている取引先や仕入れ先などへの貸付金のこと
- 前払費用:まだ提供されていないサービスに対して、事前に支払っているお金のこと
- 前払金:商品を受け取る前に支払っているお金のこと
- 未収金:有価証券の売却代金のように、本業以外で生じた未回収のお金のこと
固定資産
固定負債の主な項目はこんな感じです。
- 有形固定資産
- 無形固定資産
- 投資その他の資産
有形固定資産
事業で使う資産のことで、形のある資産を有形固定資産といいます。
下記の項目が有形固定資産の代表例です。
- 建物
- 構築物
- 車輌
- 土地
- 設備機器
- 工具機器 など
無形固定資産
事業で使う資産のことで、形のない資産を無形固定資産といいます。
下記の項目が無形固定資産の代表例です。
- ソフトウェア(商品ではなく、業務用のソフトウェアのこと)
- 借地権
- 特許権
- のれん など
投資その他の資産
長期の資産運用を目的とするもので、有形固定資産や無形固定資産には分類されないものです。
- 投資有価証券
- 繰延税金資産 など
有価証券(流動資産)と、投資有価証券(固定資産)の違いは?
流動資産に入ってくる有価証券は売買目的の株式投資になり、固定資産に入ってくる投資有価証券は子会社や関連会社の株式のことになります。
また、事業戦略として保有する株式もあったりますが、それも投資その他の資産として固定資産に分類されます。
流動資産に入ってくる債権と、固定資産に入ってくる債権の違いは?
満期が1年以内の債券は流動資産に入ってきて、満期が1年超の債券は固定資産に入ってきます
【参考】資産の部から読み取れる投資判断材料
あー、勉強になった!
満足満足♬
カブ太郎くん、ここで満足したらダメだよ(笑)
実際に投資判断をするヒントを資産の部から掴まなきゃ!
資産の部から読み取れる投資判断材料はどんなものがあるか?解説していきます。
判断材料①:流動比率
会社の安全性を見る指標になります。
流動比率は下記計算式で求めることが出来ます。
流動比率(%)=流動資産 ÷ 流動負債 × 100
流動比率を見ることで、1年以内に返済義務のある負債を余裕持って返済できるか?が分かります。
流動比率のパーセンテージが高い企業=財務の安全性が高い企業と言えるわけです。
流動比率が150%以上ある企業が一般的には財務的に安全な会社と言われています。
判断材料➁:当座比率
流動比率よりさらに厳しく会社の安全性を見る指標が当座比率になります。
当座資産とは流動資産の中で特に現金化しやすい資産のことを言います。
- 現金及び預金
- 受取手形
- 売掛金
- 有価証券 など
当座比率は下記の計算式で求めることが出来ます。
当座比率(%)=当座資産÷流動負債×100
当座比率を見ることで、1年以内に返済義務のある負債を本当に返済できるか?が分かります。
なぜなら、現金化しやすい資産=当座資産ですので、流動負債を本当に返済できるかどうかが明確に分かりますよね。
当座比率が100%以上ある企業が一般的には財務的に”超”安全な会社と言われています。
判断材料③:固定比率
こちらも会社の安全性を見る指標になります。
固定比率の求め方は下記の計算式です。
固定比率(%)=固定資産÷自己資本×100
もし仮に固定資産を「すぐ返却しろ!」と言われても会社が耐えうる資産力を持っているかを見ています。
固定比率が100%以下の企業が一般的には財務的に安全な会社と言われています。
まとめ
本日は資産の部を見てきました。
資産の部は会社のお金をどのように使用しているか?を見る指標になります。
資産の部を見ると会社が事業を展開する上でお金をどのように使っているかが分かりますね。